ブロックチェーンで広がるIoT(8) - マシンのリソースを貸し借りできる

アプリケーション・プラットフォームとして利用可能

ブロックチェーン技術の活用は分散管理台帳だけにとどまらず、アプリケーション・プラットフォームとしても利用することができます。

イーサリアムやネムであれば、スマートコントラクトを実装することで容易に決算アプリケーションを構築可能です。

ブロックチェーンを活用してのマシン・エコノミーやデータ・エコノミーの市場経済がどんどん形成されつつあります。

マシン・リソースを提供し報酬を得る

マシン・エコノミーとは、提供者のストレージ、CPU/GPU処理能力、センサ装置等をブロックチェーンを通じて利用者に提供し、対価として暗号通貨を受け取るような経済活動のことです。

ブロックチェーンを通じて利用者が提供者になりえることは画期的であり、市場参加者が増えるようになりますのでとても大きな市場に成長すると期待されています。

IoT端末は増加し続ける

IoT端末は増加の一途をたどっていますので、将来的には誰でもマシン・エコノミーに参加することが日常的になる可能性があります。

身の回りにある家電製品(テレビ、冷蔵庫、電子レンジなど)やコンピュータ(PC、スマホ、タブレット、スマートウォッチなど)がマシン・エコノミーに参加するようになれば、処理能力やセンサ・データを自動販売できるようになります。

サービス提供者としては、PCやスマホの余剰処理能力を有効活用することでサーバが不要になる可能性すらあります。

セキュリティの重要性が高まる

誰でも自分のPCの処理能力を利用できるようにするためにはセキュリティ対策が重要です。

自身のデータを保護すると同時に、マシン・エコノミーを通じて利用している人のデータの保護も重要になります。

ブロックチェーンで広がるIoT(7) - 商品の取引や流通の履歴管理

商品の取引や流通履歴を記録

ブロックチェーンを使えば、商品の価値や流通履歴を管理することができます。

次のような用途が例として挙げられます。

  • 土地・家・マンション
  • 自動車・バイク・自転車
  • PC・スマホ
  • 美術品・古書・骨董品
  • レンタカー・レンタサイクルなどのシェアサービス全般

「いつ誰が購入し、どのくらいの期間利用し、どのくらいの期間お店におかれ、次の人にいくらで売れ、その次の人がどのくらい利用した」という情報はとても重要です。

これらの情報がインターネット上でマイニングされて、ブロックチェーンに記録され、誰でもブロックチェーンに含まれる情報を閲覧できるようになると市場全体の活性化につながると考えられます。

盗難品の検出

「最終の所有者が中古販売店で、直前の所有者が別の販売店だった」というように直接取引していない場合は、ブロックチェーンが改ざんされたか、盗品の可能性があります。

ブロックチェーンは分散型台帳なのでデータの検証が簡単で、複数のフル・ノード(ブロックチェーン全体を保持しているノード)に問い合わせて、該当するブロックのハッシュ値が一致しているかどうか確認すれば改ざんされているかどうかを調べることができます。

中古商品の管理

中古商品をブロックチェーンで管理する方法は、ネット・オークションやECサイトの中古販売にも応用が利きます。

また商品を作るメーカーは商品の利用情報の把握ができるようになるので、製造段階からブロックチェーンを使った管理を行う手法が浸透していくかもしれません。

ブロックチェーンで広がるIoT(6) - 活動と成果の関係を可視化

活動と成果の関係を可視化

ブロックチェーンはトランザクションを記録できるので、原因と結果を記録するのに有効です。

例1.仕事の活動と成果を記録

仕事にはさまざまな活動があって複雑であり、また経験則で必要な仕事を見つけて組み立てることもあります。

そのため成果を得るためにどんな活動を行ったのか把握しにくいことが多いと思います。

そこで仕事のインプット・活動・アウトプットを、IoT(活動量計やPC)を使って収集し、そのトランザクション(ブロック)を記録してみます。

ブロックはマイニングされると時系列でブロックチェーンに追加されるので、過去を振り返りやすく、業務日報や営業日報、BIツールで利用するデータとして活用しやすくなります。

例2.RPA化のための業務洗い出し

RPA(ロボットによる業務の自動化)の仕組み作りには業務の洗い出しが必要になります。

ブロックチェーンを利用すると自動的に仕事を記録してくれるため、その記録を使ってビジネス環境の変化に迅速に対応することができるようになります。

ブロックチェーンで広がるIoT(5) - 画像や音声も記録可能

画像や音声も記録可能

IoTが普及してくと、データの自動収集がますます一般的になっていきます。

ブロックチェーンは、取引データだけではなくテキスト・画像・音声も記録することができます。

データを自動的に蓄積し、流通可能になるとビッグデータとしての価値が生まれていきます。

例.防犯カメラ

防犯カメラの映像を数分おきにブロックチェーンに記録することで、映像証拠の信頼性をあげることができます。

画像データのサイズが大きい場合は画像から生成したハッシュ値だけをブロックチェーン上に記録し、画像は手元のハードディスクに保存しておくという方法もあります。

インターネットに接続できる防犯カメラであれば、ハッキングされて画像が差し替えられてしまう可能性もありますが、画像を録画した時点でハッシュ値を算出して署名をつけてブロックチェーンに記録しておけば、改ざんの検知が簡単にできるようになります。

ブロックチェーンで広がるIoT(4) - データが改ざんねつ造されない

データが改ざんねつ造されない

IoT端末は一般家庭から企業まで普及が進んでいっており、様々な分野のデータを取集することができるようになりつつあります。

ブロックチェーンで格納されているデータは改ざんやねつ造されていないということを簡単に検証することができます。

例.マラソン大会

例としてマラソン大会を考えてみます。

マラソン大会の参加者全員がスマホを装着し、10キロ、20キロ、30キロ地点ごとに、互いの記録を登録/承認/書き込みしておけば、あとから主催者や第三者に順位やタイムを書き換えられるのは困難になります。

ブロックチェーンで広がるIoT(3) - 記録したデータを手元に残したまま共有

記録したデータを手元に残したまま共有

データの記録はマイニングによって分散管理台帳(ブロックチェーン)に誰でも追加できます。

データ管理はブロックチェーン・ネットワークの各ノードにより改ざん等の不正を検出することができます。

またブロックチェーンをさかのぼることで、膨大なデータから必要な情報だけを取り出すこともできます。

データのタグ付け

膨大なデータを全てブロックチェーンに記録するのは効率が悪いため、データのタグ(所在や概要、キーワード)だけをを記録しておき、データそのものは個々のPCに保存するといった方法をとることもできます。

ブロックチェーンで広がるIoT(2) - データを時系列で記録

時系列データ記録

ブロックチェーンでデータを格納すると、どのIoT端末から「いつ、どこでから」データを収集したかがブロックに記録されるので、時系列データとして扱えます。

IoT端末を使うと自動でデータを収集することができますが、たとえIoT端末が時間を持っていない場合でも、データをブロックチェーンに書き込んだ時点の時刻は残ります。

書き込まれる時刻は現在時刻ではなく前ブロックから現ブロックまでの相対時間が記録されます。

このため国や地域の時刻や時差を意識しないで済むようになり、時刻の一元管理が不要になっています。

中央集権型のシステムのように、サーバが時刻を一元管理して同期させる仕組みがなくても、各ブロックの前後関係を表すことが可能なのです。

ブロックチェーンで広がるIoT(1) - データ収集

データ収集

データ収集の方法の1つにオープン・データの利用がありますが、これには欠点がありデータ提供者にインセンティブが働きませんでした。

ブロックチェーン上でデータ提供を受けつつ、それの対価をリアルタイムに支払えるようになると、データを提供してもらいやすくなる可能性が高まります。

IoT端末を用いて、リアルタイム性の高い膨大なデータを取引する方法が、データ・マーケットプレイス(例:米国のFactual)で考え出されました。

利用者はデータに対して暗号通貨などで提供者に報酬を支払うので、たくさんの情報がリアルタイムに提供されるようになります。

身の回りから大量のデータが発生しているので、誰もがデータ・マーケットプレイスを通じてデータが売り買いできるようになります。

IoTで取得できる情報例

IoTで取得できる情報の例としては次のようなものが挙げられます。

  • 自動車の走行情報や道路状況
  • スマート・ウォッチの活動量や心拍数の情報
  • 家電製品の利用情報
  • ソーラ・パネルの発電記録や発電効率の情報
  • 医療記録や市販薬の摂取記録
  • 金融取引の売買記録
  • NFCによる電子マネー取引

さまざまな国や企業がデータ作成

市場参加者が増えないと価値形成が偏ったものになり、データの価値が正当に評価されなくなる可能性があります。

さまざまな価値観を持つ国、組織、個人が集まることで、これまでは国や世界のトップ企業でしか収集できなかったような情報を手軽に入手したり、分析できるようになります。

今後、ますますデータの価値が高まっていくのは間違いありません。

ブロックチェーンのポテンシャル

ブロックチェーンとは

ブロックチェーン(Blockchain)は、分散型台帳技術 または 分散型ネットワーク技術 と呼ばれています。

ブロックチェーンは次のような特徴があります。

  • データをいつでも追跡・取得できる。
  • 相手にデータを提供してもらったら対価を払える。
  • センサーや制御、取引のデータを時系列に保存できる。
  • 中心となるサーバがなくてもデータを共有できる。

IoTへの応用

暗号通貨や決済のような金融分野への利用はすでに行われています。

金融分野への利用だけでなくブロックチェーンを使えば、IoTなどの組み込み機器おいていろいろと応用することができるようになります。

具体的には次のようなIoTや人工知能と組み合わせた応用が考えられます。

  • 食品管理
  • 農業支援
  • 契約書
  • 証明書
  • 履歴書管理
  • 課税
  • 特許申請
  • 登記簿
  • 医療記録
  • 議事録
  • 議決権行使の記録
  • 分散型インターネットのプログラム

ブロックチェーンは記録することだけに特化した技術ではなく、分散型インターネットのプログラムのような分野への発展も進んでいます。

Satoshi Nakamoto論文

ビットコインを語るうえで、Satoshi Nakamotoの論文を一読するのは大変有益かと思います。

Satoshi Nakamoto;Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System.

この論文だけでビットコインを理解することは難しいですが、そのポイントを少々引用していきたいと思います。

中央集権から分散管理

ビットコインが従来の電子通貨と最も異なる点はトランザクション・データを管理する中央集権が存在しないということです。

トランザクション・データを分散生成/処理/管理することによって、中央集権システムの限界を突破し、世界中での流通を可能としました。

電子署名で取引データの正しさを保証

トランザクション・データとはあるビットコインの口座から別のビットコイン口座へ何ビットコイン振り込むかというデータです。

トランザクション・データに振込元の口座の持ち主が電子署名を施すことによって、そのトランザクションは持ち主が意図するものであることを保証できます。

取引の不整合を防ぐ

電子署名は個々のトランザクション・データの正しいことを保証しますが、これだけでは全体の整合性を保証することができません。

ビットコインでは、トランザクション・データを全て公開し、相互監視することによって、データ不整合をチェックし、不整合のあるデータはブロックチェーンに登録しないようにします。

マイニングで取引を承認

トランザクション・データは10分ごとに1つのブロックにまとめて管理されます。

分散管理にすると複数のブロックが競合することがありますが、ビットコインでは最終的には一意のデータに収束します。

その理由は、採掘(マイニング)報酬による競争原理を導入したことであり、競争に勝ったブロックに含まれるトランザクション・データだけが有効であるというルールがあるからです。

マイニングとは「ノンス」を探すこと

各ブロックのハッシュ値は、次のブロックに登録され、そのハッシュ値を含む次のブロックのハッシュ値が、さらにその次のブロックに登録されます。

このようにブロックをチェーン上につなぐのがブロックチェーンの名前の由来です。

ハッシュ値は決められた数のゼロビットを含まなければならず、そのためにノンス(nonce)と呼ばれる値を増加させながらハッシュ値の計算を繰り返さなければなりません。

マイニングする人には「報酬」が支払われる

ブロックを作った人は新しいコインをもらうことができ、中央集権のないシステムとって新しいコインを発行する機会にもなります。

インフレーションを防ぐために、ビットコインの発行には上限があります。