DEAP(Distributed Evolutionary Algorithms in Python)
DEAP(Distributed Evolutionary Algorithms in Python)は、進化計算(Evolutionary Computation)や遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms)を含む進化的アルゴリズムのためのPythonライブラリです。
以下は、deapライブラリの主な特徴と機能です。
1. 遺伝的アルゴリズムのサポート:
deapは主に遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms)を実装するためのツールボックスを提供しています。
遺伝的アルゴリズムは、生物学的な進化の原則に基づいて問題を解く最適化手法です。
2. 進化計算アルゴリズム:
deapは他の進化計算アルゴリズムもサポートしており、遺伝的プログラミング(Genetic Programming)、進化戦略(Evolution Strategies)、遺伝的プログラミング(Genetic Programming)などを含む様々な進化計算手法を実装できます。
3. 柔軟性と拡張性:
deapは柔軟かつ拡張性があり、ユーザーが独自の進化的アルゴリズムを構築するための豊富な機能を提供します。
遺伝的操作や適応度評価関数の定義、進化戦略の設定など、各要素を簡単にカスタマイズできます。
4. 統計情報の収集:
deapは進化計算の過程で発生する*統計情報を収集し、進化の様子**を視覚化するためのツールも提供します。
これにより、進化の効率や収束の速さなどを分析することが可能です。
5. 分散進化アルゴリズム:
deapは分散進化計算をサポートし、分散環境での進化計算を実現できます。
これにより、複雑な最適化問題を解決するために複数の計算ノードを利用することが可能です。
サンプルコード
以下は、deapライブラリの基本的な使用例です。
この例は、遺伝的アルゴリズムを使用して1次元の関数の最小値を求めるものです。
1 | !pip install deap |
このコードでは、2乗した値が最小となるような1次元の関数を最適化しています。
[実行結果]
gen nevals 0 50 1 45 2 40 3 43 4 45 5 41 6 42 7 45 8 47 9 43 10 43 11 46 12 42 13 49 14 47 15 47 16 43 17 46 18 46 19 45 20 43 21 46 22 47 23 47 24 45 25 44 26 45 27 42 28 41 29 48 30 45 31 42 32 47 33 45 34 45 35 46 36 45 37 47 38 47 39 46 40 44 41 42 42 46 43 39 44 43 45 49 46 45 47 45 48 40 49 46 50 43 51 47 52 45 53 46 54 46 55 46 56 46 57 45 58 44 59 43 60 48 61 48 62 46 63 42 64 46 65 49 66 40 67 44 68 47 69 48 70 48 71 44 72 45 73 45 74 44 75 46 76 44 77 48 78 48 79 43 80 42 81 43 82 42 83 48 84 41 85 42 86 47 87 45 88 45 89 43 90 43 91 43 92 45 93 47 94 47 95 43 96 44 97 48 98 45 99 45 100 44 最適な個体: [-2.50777571e-07] 最小値: 6.288939021627859e-14
ソースコード解説
このPythonスクリプトは、deapライブラリを使用して進化計算(遺伝的アルゴリズム)を実行し、1次元の関数を最適化する例です。
以下にコードの章立てと詳細な説明を示します。
1. モジュールのインポート:
1 | from deap import base, creator, tools, algorithms |
必要なモジュールやライブラリをインポートしています。
deapライブラリに加え、randomやnumpyも使用します。
2. 適応度クラスの作成:
1 | creator.create("FitnessMin", base.Fitness, weights=(-1.0,)) |
deapで遺伝的アルゴリズムを使用するために必要な適応度クラスと個体クラスを作成しています。
3. 遺伝子個体の初期化:
1 | toolbox = base.Toolbox() |
遺伝子個体の初期化を行っています。
個体は1次元の浮動小数点数からなり、その範囲は$-5$から$5$までです。
4. 適応度評価関数:
1 | def evaluate(individual): |
適応度関数を定義しています。
この例では、最小値を求めるために個体の1乗を適応度としています。
5. 遺伝的操作:
1 | toolbox.register("mate", tools.cxBlend, alpha=0.5) |
遺伝的操作(交叉、突然変異、選択)を定義しています。
具体的な操作は、ブレンド交叉、ガウシアン突然変異、トーナメント選択です。
6. 進化計算の実行:
1 | pop = toolbox.population(n=50) |
初期個体を生成し、進化計算を実行しています。eaMuPlusLambda
はμ+λ進化アルゴリズムを指します。
7. 結果の表示:
1 | best_ind = tools.selBest(pop, 1)[0] |
進化計算の結果として、最適な個体とその適応度を表示しています。
適応度関数の最小値が最適な解です。
結果解説
実行結果は、進化計算の各世代(generation)ごとの統計情報を示しています。
各行には、進化計算の特定の世代における情報が含まれています。
- gen: 世代数
- nevals: 評価された個体数
例えば、最初の行では世代数$0$で$50$個体が評価されました。
最終的には$100$世代まで進化計算が行われています。
ここで注目すべきポイントは、最終的な結果です:
- 最適な個体: [-2.50777571e-07]
- 最小値: 6.288939021627859e-14
最適な個体は1つの次元を持つ浮動小数点数の配列で、その最小値はほぼゼロに非常に近い値です。
進化計算は、遺伝的アルゴリズムを使用してこの最小値に収束しました。
なお、最適な個体がゼロに近い値であることから、この例では1次元関数$ f(x) = x^2 $を最小化しています。
ゼロがこの関数の最小値であり、進化計算がそれに収束したことが示されています。