効用最大化問題 CVXPY

効用最大化問題 CVXPY

経済学に関する最適化問題の一例として、消費者の効用最大化問題を解いてみましょう。

消費者の効用最大化は、限られた予算の中で効用(満足度)を最大化するためにどのように消費するかを決定する問題です。

問題設定

消費者は2つの財(商品)$ ( x ) $と$ ( y ) $を消費します。

それぞれの財の価格は$ ( p_x ) $と$ ( p_y ) $です。

消費者の予算は$ ( M ) $です。

消費者の効用関数は$ ( U(x, y) = x^{0.5} y^{0.5} ) $というコブ・ダグラス型の効用関数とします。

目標

予算制約を守りながら、消費者の効用を最大化するための財$ ( x ) $と$ ( y ) $の消費量を求めます。

解法

CVXPYを使ってこの最適化問題を解きます。

ステップ1: ライブラリのインストール

まず、CVXPYをインストールします。

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pip install cvxpy

ステップ2: データの準備

次に、価格と予算を設定します。

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import cvxpy as cp

# データの設定
px = 20 # 財xの価格
py = 10 # 財yの価格
M = 100 # 予算

ステップ3: 最適化問題の定式化

次に、CVXPYを使って効用最大化問題を定式化します。

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# 変数
x = cp.Variable(nonneg=True) # 財xの消費量
y = cp.Variable(nonneg=True) # 財yの消費量

# 効用関数
utility = cp.sqrt(x) * cp.sqrt(y)

# 最適化問題の定式化
objective = cp.Maximize(utility) # 効用を最大化
constraints = [
px * x + py * y <= M # 予算制約
]

# 問題の作成と解決
problem = cp.Problem(objective, constraints)
problem.solve(qcp=True)

# 最適な消費量
print("最適な財xの消費量:", x.value)
print("最適な財yの消費量:", y.value)
print("最大化された効用:", utility.value)

ステップ4: 結果の確認

最適な消費量最大化された効用を確認します。

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print("最適な財xの消費量:", x.value)
print("最適な財yの消費量:", y.value)
print("最大化された効用:", (x.value**0.5) * (y.value**0.5))

まとめ

この例では、消費者の効用最大化問題を解きました。

CVXPYを使うことで、経済学に関するさまざまな最適化問題を解くことができます。

他にも以下のような問題に利用できます。

  • 生産者の利益最大化
  • 労働市場の均衡
  • 経済成長モデルの最適化
  • 政策シミュレーション

経済学の問題において最適化手法は非常に重要な役割を果たしており、CVXPYはそのための強力なツールとなります。

結果解説

[実行結果]

最適な財xの消費量: 2.4999980742405747
最適な財yの消費量: 5.000003845908935
最大化された効用: 3.5355339039482856
最適な財xの消費量: 2.4999980742405747
最適な財yの消費量: 5.000003845908935
最大化された効用: 3.5355339039482856

この結果は、予算制約のもとで消費者の効用を最大化するための最適な財$ ( x ) $と$ ( y ) $の消費量を示しています。

結果の詳細は次の通りです:

最適な消費量

  • 財 ( x ) の消費量: 2.4999980742405747
  • 財 ( y ) の消費量: 5.000003845908935

これらの数値は、消費者が最大限の満足度を得るために、それぞれの財をどの程度消費すべきかを示しています。

最大化された効用

  • 最大化された効用: 3.5355339039482856

この数値は、与えられた予算内で達成できる最大の効用(満足度)を表しています。

結果の解説

この問題では、消費者が以下の効用関数を最大化しようとしています:
$$
U(x, y) = x^{0.5} y^{0.5}
$$

また、予算制約は次のようになります:
$$
p_x \cdot x + p_y \cdot y \leq M
$$

具体的には、以下の条件のもとで解を求めました:

  • 財$ ( x ) $の価格$ ( p_x ) = 20$
  • 財$ ( y ) $の価格$ ( p_y ) = 10$
  • 予算$ ( M ) = 100$

結果の確認

結果から、予算制約の範囲内で以下のような消費を行うと、効用が最大化されることがわかります:

  • 財$ ( x ) $を約$2.5$単位消費する
  • 財$ ( y ) $を約$5.0$単位消費する

このとき、消費者の満足度(効用)は約$3.54$となります。
消費者が与えられた予算の中で、効用を最大化するためにどのような消費を行うべきかが明確になりました。

最適な消費量効用は、モデルの条件下で最適化されたものであり、経済学の理論に基づいた合理的な消費行動を示しています。