リサージュ曲線(Lissajous curve)
リサージュ曲線(Lissajous curve)は、2つの調和振動(サイン波やコサイン波)の合成によって得られる曲線で、フランスの物理学者ジュール・アントワーヌ・リサージュによって1860年代に研究されました。
これらの曲線は、特に電子工学や信号処理、物理学などの分野で、周期的な現象や波動の比較に役立ちます。
基本方程式
リサージュ曲線は次のパラメトリック方程式で表されます:
$$
x(t) = A \sin(a t + \delta)
$$
$$
y(t) = B \sin(b t)
$$
- $( t ) $は時間またはパラメータです。
- $( A ) $と $( B ) $は、それぞれ$ ( x ) $軸と$ ( y ) $軸方向の振幅です。
- $( a ) $と $( b ) $は、それぞれ$ ( x ) $軸と$ ( y ) $軸方向の周波数です。
- $( \delta ) $は位相差で、$ ( x ) $軸方向の波と$ ( y ) $軸方向の波の間の初期位相の違いを示します。
特性と形状
リサージュ曲線の形状は、パラメータ$ ( a )$、$ ( b )$、$ ( \delta ) $によって決まります。
これらのパラメータの値によって、曲線は非常に多様な形状をとります。
周波数比$ ( \frac{a}{b} ) $の効果:
- 整数比の場合(例えば$、( \frac{a}{b} = 1 )$、$( \frac{a}{b} = 2 ) $など)、リサージュ曲線は閉じた形になります。
- 非整数比の場合、曲線は閉じられない複雑な形状を持ち、長い時間範囲で描かれるとカオス的なパターンになります。
位相差$ ( \delta ) $の効果:
- 位相差が$ ( 0 )$ または$ ( \pi ) $の場合、曲線は直線になります(特に、振幅$ ( A ) $と$ ( B ) $が同じ場合)。
- $( \delta ) $が$ ( \frac{\pi}{2} ) $の場合、典型的なリサージュ曲線(楕円形や八の字形)を生成します。
実用例
リサージュ曲線は、以下のような分野で重要な役割を果たします:
- オシロスコープ: オシロスコープで2つの信号の周波数や位相差を視覚的に比較するために使用されます。
1つの信号が$ ( x ) $軸、もう1つの信号が$ ( y ) $軸に接続されると、リサージュ図形が表示されます。 - 信号処理: 2つの波形信号の同期や比較に使用されます。
- 物理学とエンジニアリング: 振動分析や周期現象の研究に役立ちます。
プログラム例
以下は、Pythonを用いてリサージュ曲線をプロットするコードです:
1 | import numpy as np |
結果の解釈
- 閉じた曲線: $( \frac{a}{b} ) $が有理数であれば、曲線は閉じます。
例えば、上記のコードでは$ ( \frac{a}{b} = \frac{3}{2} ) $であり、曲線は繰り返しパターンを示します。 - 対称性: $( \delta ) $の値により対称性が変わります。
例えば、$ ( \delta = 0 ) $の場合、$ ( x ) $と$ ( y ) $の振動は同期し、直線や楕円になります。
リサージュ曲線は、異なる調和振動の相互作用を視覚的に表現するための強力なツールであり、その形状はパラメータの調整により多様に変化します。
これにより、信号の特性や相互関係を解析する際に非常に有用です。
グラフ解説
[実行結果]
リサージュ曲線のグラフの内容について説明します。
グラフの内容説明
$X$軸と$Y$軸の振動:
- $(x(t) = A \sin(a t + \delta))$
- $(y(t) = B \sin(b t))$
この2つの振動が組み合わさることで、リサージュ曲線が形成されます。
振幅$ (A) $と$ (B)$:
- 振幅$ (A) $と$ (B) $は、それぞれ$ (x) $軸と$ (y) $軸方向の振動の最大値を示します。
- 振幅が大きいほど、波の高さが高くなります。
周波数$ (a) $と$ (b)$:
- 周波数$ (a) $と$ (b) $は、$ (x)$ 軸と$ (y) $軸方向の振動の周期を決定します。
- 周波数が高いほど、波が速く振動します。
位相差$ (\delta)$:
- 位相差$ (\delta) $は、$ (x) $軸方向の振動が$ (y) $軸方向の振動に対してどれだけずれているかを示します。
- 位相差が異なると、リサージュ曲線の形状が変わります。
プロットされたグラフ
曲線の形状:
- 曲線の形状は、パラメータ$ (a)$、$ (b)$、$ (\delta) $によって決まります。
例えば、$ (a) $と$ (b) $が整数比であれば、閉じた滑らかな曲線が得られます。
非整数比の場合、複雑なカオス的な形状になることがあります。
- 曲線の形状は、パラメータ$ (a)$、$ (b)$、$ (\delta) $によって決まります。
例示されたパラメータ:
- $(A = 1)$、$ (B = 1)$: $(x) $軸と$ (y) $軸方向の振幅は同じです。
- $(a = 3)$、$ (b = 2)$: $(x) $軸方向の振動が$ (y) $軸方向の振動に対して$3:2の$比率を持ちます。
- $(\delta = \pi / 2)$: $(x) $軸方向の振動が$ (y) $軸方向の振動に対して$ (\pi / 2) $ラジアン($90$度)ずれています。
結果のプロット
- 軸のラベル: $(x) $軸と$ (y) $軸がそれぞれラベル付けされており、曲線が2次元平面上に描かれています。
- グリッド: グリッドが表示され、曲線の形状を確認しやすくしています。
- 等スケール:$ (x) $軸と$ (y) $軸のスケールを同じにすることで、曲線の形状が正確に表示されます。
これらの特性により、リサージュ曲線は2つの調和振動の位相差や振幅比を視覚的に理解するための強力なツールとなります。
リサージュ曲線は、電子工学や音響学などで信号の特性を解析する際によく用いられます。