為替ヘッジ問題 PuLP

為替ヘッジ問題

FX(外国為替)に関して最適化問題の一例として、為替ヘッジ問題が挙げられます。

為替ヘッジとは、外国通貨での取引によるリスクを減らすために、為替レートの変動に対して保護することです。


以下の例では、ある企業が米ドルで仕入れた商品を日本円で販売する場合の為替ヘッジ問題を考えます。

企業は、ある時点で米ドルを使って商品を購入する必要がありますが、商品の販売は数ヶ月後に行われます。

この間に、円/ドルの為替レートが変動することにより、企業の利益に影響を与える可能性があります。

企業は、為替レート変動のリスクを軽減するために、先物市場で円/ドルの未決済契約(フォワード契約)を取引することを考えています。


最適化問題は、フォワード契約を取引する数量を決定することです。

フォワード契約の数量が大きいほど、為替レート変動によるリスクは小さくなりますが、フォワード契約にかかるコストが増加します。

一方、フォワード契約の数量が少ないほど、コストは低くなりますが、リスクは大きくなります。


最適化問題をPuLPを用いて解いてみましょう。

以下のコードは、PuLPを用いた為替ヘッジ問題の最適化問題を解く例です。

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import pulp

# 問題の設定
problem = pulp.LpProblem('FX Hedge Problem', pulp.LpMinimize)

# 変数の定義
forward_contract = pulp.LpVariable('Forward Contract', lowBound=0)

# 目的関数の定義
problem += 0.01 * forward_contract

# 制約条件の定義
problem += 10000 * forward_contract >= 1000000
problem += 10000 * forward_contract <= 2000000

# 問題の解決
status = problem.solve()

# 結果の出力
print('Optimal Solution:')
print('Forward Contract Quantity =', pulp.value(forward_contract))
print('Minimum Cost =', pulp.value(problem.objective))

上記のコードでは、PuLPを使用して最小化問題を定義しています。

変数 forward_contract は、フォワード契約の数量を表しています。

目的関数は、フォワード契約にかかるコストを最小化するように設定しています。

フォワード契約の数量が増加すると、コストが増加することに注意してください。

制約条件では、フォワード契約の数量が、1ドルあたり100円から200円の範囲内に収まるように設定しています。

この制約条件は、フォワード契約によるリスク軽減とコスト増加のバランスを取るために必要です。


最後に、PuLPの solve() メソッドを呼び出して問題を解決し、フォワード契約の数量と最小コストを出力します。

解決結果には、PuLPの LpStatus 列挙型を用いてアクセスすることができます。

解が正常に見つかった場合、LpStatusOptimal が返されます。


上記のコードを実行すると、以下のような結果が得られます。

[実行結果]
Optimal Solution:
Forward Contract Quantity = 100.0
Minimum Cost = 1.0

この結果から、最適なフォワード契約の数量は100であり、最小コストは1万ドルであることがわかります。

これは、企業がリスクを軽減するためにフォワード契約を100万ドル分取引することが最も適していることを示しています。